著者のコラム一覧
森岡英樹経済ジャーナリスト

1957年生まれ。早稲田大学卒業後、 経済記者となる。1997年、米コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年にジャーナリストとして独立。

2度目の月面着陸失敗で注目…「ispace」の重い有利子負債とスポンサーの契約更新

公開日: 更新日:

 日本の宇宙スタートアップ「ispace」は6日朝、日本の民間として初の月面着陸に挑戦したが、午前4時過ぎの着陸予定時刻を過ぎても「月着陸船との通信が確立できていない」として、着陸は失敗と判断した。着陸船は月面に「ハードランディング」した可能性が高いとみられている。

 同社は一昨年、最初の月面着陸に失敗していて、今回、制御システムや着陸地点の見直しなどの対策を講じた上での再挑戦だったが、2度目の着陸失敗を受けて株価はストップ安水準まで売られた後、暴騰するなど乱高下している。

 東証グロース市場に上場する同社の創業者で現代表の袴田武史氏は、1979年生まれで、2004年に名古屋大学航空工学科を卒業後、米ジョージア工科大学大学院に進学し、修士号(航空宇宙工学)を取得。帰国後の06年9月に外資系経営コンサルティング会社であるマサイ・ジャパン(現:エイミングジャパン)に入社。プロジェクトリーダーを務めながら、「Google Lunar XPRIZE」の欧州チームにボランティアで参画。10年9月合同会社ホワイトレーベルスペース・ジャパンを設立し、代表社員に就任。その後、13年に欧州チームが撤退したことを受け、同年5月に「ispace」に改組し、CEO(最高経営責任者)に就いた。

 同社の計画では、2040年には月に1000人が暮らし、年間1万人が往来するという「ムーンバレー構想」を描いている。そのための月への物資輸送サービスの実現を目指しており、着陸船には、自社で開発した月面探査車や、日本の企業が開発した水から水素と酸素を作り出す実験装置などが積み込まれていた。

 だが、2度の失敗が資金繰りに影響を及ぼすのは避けられない。「研究開発投資が先行している段階で、事業収益化には至っていない。通期連結業績は、継続的な営業損失及び営業キャッシュフローはマイナスとなっており、『継続企業の前提に関する重要事象等』の記載が続いている」(大手信用情報機関幹部)という。25年3月期第2四半期連結ベースの有利子負債額は180億8387万円に上る。

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