橋幸夫さんが発症した「一過性脳虚血発作」…認知症との関係は?
歌手の橋幸夫さん(82)が5月31日、脳梗塞の前兆とされる一過性脳虚血発作(TIA=ティー・アイ・エー)を発症し、自宅から緊急入院した。橋さんは昨年12月、中程度のアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)と診断されていた。
アルツハイマー病とTIAは関係があるのだろうか。
東邦大学名誉教授の東丸貴信医師は、「この2つの病気には直接的な因果関係があるわけではなく、それぞれに共通するリスク因子が存在します」と指摘する。そのひとつが動脈硬化だという。アルツハイマー病は認知症の中で最も多く、全体の6~7割を占める。
「この病気は脳の中にアミロイドβ(ベータ)タンパクという物質がたまり、このタンパク質の毒性により神経細胞が破壊されて神経細胞数が減ることで発症するとされます。なぜ、このタンパク質がたまるかは不明ですが、脳血管の動脈硬化が同時に進行すると、このアミロイドβのたまり方が早まることが分かってきました」と東丸医師は解説する。
高齢者がアルツハイマー病を単独で発症する割合は少なく、約8割は動脈硬化が背景にあるとされる。