米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波
ニューヨーク・マンハッタンの中でも最も高級な住宅地として知られるのが「ビリオネアズ・ロウ」だ。セントラルパーク南側に位置し、世界中の超富裕層が数十億円単位の資産を投じてここに住居を構えている。
その代表格が、2015年に完成した超高層住宅「432 Park Avenue」である。地上85階、高さは425メートルに達し、幅との比率が15対1という極めて細長いデザインは建築界に衝撃を与えた。平均分譲価格は1戸あたり1800万ドル(約26億円)以上とされ、世界でも最も高価なタワーマンションのひとつに数えられる。
海外不動産事情に詳しいディベロッパーは言う。
「この物件は賃貸でも月額1000万円超の高水準。購入者は当然、金融や不動産、アート界などの成功者ばかり。セレブも多く住んでいると報じられている」
しかし、このスーパータワマンで竣工からわずか10年も経たないうちに、深刻な構造的欠陥が発覚した。その状況は凄まじい。
風が吹けば「爆弾のような音」が館内に響き渡り、住民の多くが悪天候時にはまともに睡眠がとれないと訴える。水漏れも多く、地下では継続的に浸水が続き、2021年には電気工事中に爆発事故が発生し、修理費用は150万ドルに上った。住民の一部は、19カ月以上にわたり避難生活を強いられるなど、超高級住宅とは思えぬ実態が次々と明るみに出ている。