愛知県犬山市にある「もうひとつの万博」に行ってみた “本家”と違いストレスフリー&コスパよし

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 開催中の大阪・関西万博は、1日あたり10万人超が訪れる盛況ぶりだが、主要パビリオンは予約困難。長蛇の列ができ、施設内では現金が使えないなど、不満の声が噴出している。そんな中、“もうひとつの万博”として注目されているのが、愛知県犬山市にある「リトルワールド」だ。1983年に開園した野外民族博物館で、来場者は1周約2.5キロのコースを歩きながら、世界各国の建築や食、衣装を楽しめる。SNSでは「万博よりもコスパがいい」といった声が少なくない。その実態を確かめるべく、日刊ゲンダイ記者が突撃した。

■学芸員が現地で徹底リサーチ

 現地に降り立ち、まずは広報担当・草野未央理さんに、施設の楽しみ方を聞いた。

「リトルワールドは、“本物”にこだわっています。たとえば『フランス アルザス地方の家』は現地から実際に移築・復元し、『ペルー 大農園領主の家』は本物の設計図をもとに忠実に再現。壁画の修復の際は、ペルーから職人を招きました。学芸員が世界各国を訪ね歩き、ときには1カ月近く現地滞在して、調査やリサーチを重ねています。グルメや衣装にもその成果を反映させているので、本物を五感で味わっていただけたらうれしいです」

大阪・関西万博をしのぐ充実ぶり

 園内のイチオシスポットは入園ゲートをくぐって左側にある屋内施設の本館展示室だという。現在は愛・地球博20周年のサテライト会場として「つくる・つかう・つながる展」を開催。約6000点もの資料が並び、ここだけで一日過ごせると言っても過言ではない。

 続いて、屋外の沖縄、アイヌ、北米先住民のエリアを経て、「ペルー 大農園領主の家」に到着。記者の目を奪ったのが中南米風カフェ「エル・パティオ」のメニュー「ピラルクのフライ」(350円)だった。アマゾン川に生息する世界最大級の淡水魚。名前は知っていたが、まさか食べられるとは。

 果たして、そのお味は……。行列がないため、覚悟を決める間もなくピラルクとご対面。恐る恐る口に放り込むと、肉質は淡泊でクセがなく、霞ケ浦で釣ったアメリカナマズを思わせる。だが、ジューシーさはケタ違い。かじるたびに肉汁が噴き出し、口いっぱいにうまみが広がった。うまい。世界の珍味をこんな形で楽しめるとは。もはや万博。いや、万博をしのぐ充実感だ。

 喫煙所で一服してから足を運んだヨーロッパエリアは、3月にリニューアルされたばかりとあって大盛況。ドイツ料理店「ガストホフバイエルン」では、「ソーセージ5種盛りWithスモークベーコン」(2980円)を注文した。店内は活気がありながらも回転が早く、ストレスは感じない。入店から提供まで10分あまりだった。圧倒的なボリュームに面食らいつつ頬張ると、これがまたうまい。草野さんが「ビールとソーセージ目当てのお客さまも多い」と話していたのも、うなずける。

謎解きイベントも

 周辺ではドイツの民族衣装に身を包んだ4人の若者グループの姿も。聞けば、うち2人は万博経験者だと、こう話す。

「こっちは謎解きイベントなどもあって見るだけでなく遊べるのも魅力」

「喫煙所が各所にあるのもありがたい。万博はゲートの外まで出ないと吸えないので」

 サリーをまとった福井県のマダムグループや熟年夫婦、20代女性のペアなど客層はさまざま。それぞれの視点でリトルワールドを満喫していた。

「珍しい調味料や雑貨を見ているだけで楽しい」

「現金が使えて、どこも並ばないのがうれしい」

「今日はインド料理と、開催中の『世界のクレープ博』目当てです」

 世界を知り、味わえる。季節限定の企画により、何度訪れても新しい発見がある。なにより、快適だ。気がつけば、また足を運びたくなっている自分がいた。 

(取材・文=杉田帆崇/日刊ゲンダイ)

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