中津市立小幡記念図書館(大分県)福澤諭吉、前野良沢、黒田官兵衛…城下町でゆかりの人物や歴史に触れる
大分県の最北西部、瀬戸内海に面した中津市は、豊臣秀吉の参謀として名を馳せた黒田官兵衛が築いた中津城の城下町。福沢諭吉の出身地でもある。
中津城へと続く道路沿い、歴史ある街並みに溶け込むように水平方向に延びる外観が特徴の建物が中津市立小幡記念図書館だ。
福沢諭吉とともに「学問のすゝめ」の初編を書いた小幡篤次郎(慶応義塾3代目塾長)の遺言で、彼の土地、家屋、蔵書の半分が寄贈されて1909年に設立された図書館が前身。現在の小幡記念図書館は93年に幕張メッセや東京体育館を手掛けた槙文彦の設計で、藩校「進脩館」跡地に建てられた。95年には日本図書館協会建築賞を受賞している。
「館内は中央の書架スペースを囲むように読書スペースが配置されています。書架部分は窓からの柔らかい自然光に包まれ、読書スペースはすべて外部に面しているのが特徴です。中津城へと続く道沿いには連続するキャレル(1人掛けの机)があり街並みを眺めることができますし、その他の席も庭に面していますので、自分の気に入った場所で読書を楽しんでいただくことができます」(館長の野畑真佐美さん)
読書スペースが豊富なうえ、2階には資料を持ち込んで36人が勉強することもできる学習席がある。
蔵書は約20万冊。最大の特徴は郷土史関連図書が充実していることだろう。中津は福沢諭吉、小幡篤次郎、「解体新書」の主幹翻訳者の前野良沢らを輩出したことに加え、黒田官兵衛もゆかりの人物だ。