露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態
人間の味を覚え、再び男性を襲った可能性がある。
岩手県北上市和賀町の温泉旅館「瀬美温泉」で17日、露天風呂を清掃中に行方不明になった従業員の笹崎勝巳さん(60)とみられる遺体が見つかった。遺体はかなり損傷が激しい状態だった。
同日午前8時から、猟友会のメンバーと岩手県警が約40人態勢で現場周辺の捜索を再開。午前9時過ぎ、露天風呂の北西50メートルの雑木林で男性の遺体を発見した。遺体のすぐ近くにクマがおり、捜索隊に気づいて逃げようとしたところをハンターが撃ち、駆除した。クマは体長1.5メートルの雄だった。
笹崎さんは16日朝、クマに襲われ、露天風呂から引きずられていった。現場周辺には眼鏡や片方だけのサンダル、清掃道具が散乱し、入り口付近の岩や周囲の柵の下には血痕が残されていた。現場周辺の山林では7日にも、山菜採りに出かけた男性(73)がクマに襲われ、翌8日、遺体が発見された。
17日は地元のハンター16人が捜索にあたった。同行した「和賀猟友会」の鶴山博会長がこう話す。
「男性を露天風呂から引きずり、川の向かいの急な斜面を登ったところまで連れて行った。男性はクマに食べられていました。このクマは7日にも、山菜採りに来た男性を襲って食べています。襲撃現場から瀬美温泉までは約2キロほど。13日にもクマの目撃情報があり、人を食べたクマに間違いないと思い、警戒していた。人間の味を覚えたのか? そうだと思います。餌だと思って運んで行った」
笹崎さんが露天風呂の清掃を始めたのは、午前9時過ぎ。温泉施設からの通報は午前11時15分だった。その間に笹崎さんは被害に遭ったことから、宿泊客が入浴中に襲われてもおかしくなかった。