著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(32)玉川上水で散歩酒

公開日: 更新日:

 子供の頃から馴染みの深い多摩川の源流を訪ねてみたいと思ったことがある。奥多摩あたりだろうと軽い気持ちで調べてみて、源流は標高2000メートル近い笠取山の原生林の中だとわかり、早々に諦めた。

 その代わりに、玉川上水の源流を訪ねた。場所は羽村取水堰。ここで多摩川から分離し、新宿の四谷大木戸(「四谷四丁目」交差点付近)までの43キロをゆっくり下るのが玉川上水だ。承応2年(1653年)、わずか10カ月で開削工事を成し遂げた玉川兄弟は、この功績によって武士と同等の身分と玉川の姓を得たといわれる。

 その源流が羽村取水堰だ。堰に隣接する公園にある玉川兄弟の銅像に挨拶してから玉川上水を下っていくと、細い流れの両岸から木々の枝が垂れかかり、日差しを遮っていて、暑い日だったが、とても気持ちがよかった。

 この流れは、現在の多摩地域や埼玉県の一部地域に新田を開くための水を運び、人口が急増する江戸市中にも貴重な水を供給した。

 川というより用水路なのだが、羽村から福生のほうへと歩く途中は、まさに清流だった。

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