著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(32)玉川上水で散歩酒

公開日: 更新日:

 羽村氏の隣の福生市に入ると、玉川上水から水を引き込む酒蔵があった。文政5年(1822年)創業の田村酒造場。東京の地酒「嘉泉」を醸す老舗蔵だ。玉川上水の水は器具の洗浄など、酒蔵での作業のために用いるが、酒の仕込み水は、「嘉泉」の名の由来ともなった、敷地内の井戸からくみ上げる秩父多摩の伏流水という。

 蔵の売店で4合瓶を1本買った。それを手に、上水沿いを少し戻って福生かに坂公園に入り、水筒の蓋に酒を少し注ぎ、青空の下できゅっと一杯ひっかけた。平日のことで人の姿もなく、ただただ空が広い。この公園は、多摩川の河川敷だが、きれいに整備されていて、居心地がいい。

 ベンチに寝転んで広い空を眺めると、心の中まで晴れ晴れとしてくるのだった。

 福生駅方面へと歩みを進め、駅を過ぎると、国道16号。米軍の横田ベースに突き当たった。近くのコンビニでたばこを買ったのだが、レジ横にシガリロや葉巻風味の紙巻きたばこがずらりと置いてあった。それだけで基地の街という感じがする。見上げると軍用機が低空を飛んでいた。

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