著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(33)三浦海岸でのんびり散歩酒

公開日: 更新日:

 森の匂いも好きだが、かすかな潮の香りもいいものだ。私は潮の匂いを嗅ぐと、なぜか食欲をそそられる。

 三浦海岸駅へ戻り、昼間から開けている居酒屋に入って品書きを見ると、サザエのつぼ焼きがあった。夏のことだったから、まさに旬の味というところだろうか。

 アジのなめろうと、つぼ焼きで、生ビールを飲むことにした。

 長い時間、青い空を眺めていたためか、眩暈がするような感覚が残っている。浜で波と戯れる我が子を見守っていた父親の後ろ姿が、黒い影になって蘇るかのようだ。

 火照った身体に、生ビールが沁み、耳にはまだ、トンビの声が響いていた。

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