トラブル続出で禁止になることも…苦情殺到コスプレのマナー問題で許容範囲との境界線を考えてみた
日本の文化として定着し、オタクのみならず一般人も楽しむようになったコスプレ。しかし、最近、コスプレを巡って、至るところでトラブルが起こっている。
神奈川県横須賀市にある「横須賀しょうぶ園」は5月27日、「コスプレ撮影の皆様へ」と題した告知を公式サイト上に掲載し、その内容を巡ってSNS上で議論が巻き起こった。曰く、同園で4月18日から5月5日まで開催された「ふじまつり」で、一部のコスプレイヤーが撮影場所に長時間とどまるという迷惑行為があったという。
施設の管理者は、今後こうした事態が発生した際は、退園してもらう可能性まで示唆している。こうしたイベント会場では、コスプレしている人をよく見かけるし、有名観光地や絶景スポットなどでも「撮影のために場所を長時間占拠している」コスプレイヤーが相次ぎ、苦情が寄せられる事態になっているのだ。
■トイレ問題のほか建物に傷
コスプレイヤーの振る舞いは、SNS上で鉄道オタクのマナーなどと並んで炎上しやすいテーマの1つである。昨年は、「大阪・関西万博」の会場でコスプレをした女性に批判が殺到。「イベントにコスプレで来場する是非」を巡り、賛否両論の意見がぶつかり合う騒動になったのは記憶に新しい。
そもそも、「大阪・関西万博」はコスプレでの来場を可能としていたが、それでも炎上してしまうほどコスプレの問題は根深い。本件は、その後の女性の言動も火に油を注ぐ形になってしまったのかもしれないが、コスプレイヤーのトラブルは表に出ないだけで、各所で発生している。
筆者は建築の記事などを執筆している関係で、文化財に指定されている建造物の所有者とも付き合いが深い。コスプレイヤーが撮影地として好むのが洋館だ。こうした施設はそもそも、「入場の際の衣装」について規定はなく、コスプレ衣装といえど服は何を着ようと自由なのだから、施設側も黙認しているケースも多い。
ところが、ある文化財指定の洋館では、撮影を巡って深刻なトラブルが発生した。管理者のA氏がこのように話す。
「私たちが管理する洋館は写真映えするので、コスプレイヤーがよく撮影のために訪れていました。見た目も華やかですし、私たちも最初は楽しんでいたんです。しかし、着替えのためにトイレを長時間使用する人たちがいたほか、衣装の鋭利な部分で建物に傷をつけてしまうトラブルもあり、さすがに看過できなくなりました」
■周囲への配慮を欠くことが問題
結局、この洋館ではコスプレでの来場、並びに撮影を全面禁止にせざるを得なくなったという。「苦肉の策だった」と嘆きながら、A氏がこう続ける。
「コスプレイヤーに限ったことではなく、一般のお客様にも言えることですが、とにかく最近は写真を撮るために長時間、同じ場所を占拠する人が多過ぎます。洋館そのものを撮影したい人もいるので、一定の時間、撮影を楽しんだら、移動していただけると助かるのですが……。
コスプレイヤーのみなさんに関しては、衣装が目立つことよりも、こうした他のお客様に対する配慮がない行動の方が問題です。おそらく、キャラになり切ったり、撮影に夢中になったりすると、周りが見えなくなるのかもしれませんね」
東京・音羽にある大正時代に建てられた洋館「鳩山会館」は、現在もホームページに「コスプレやゴシックロリータでの来場、撮影を禁止」という厳格な規定がある。20年以上前、雑誌で写真映えするスポットとして紹介されたことで来場者が増え、トラブルが発生した。
このトラブルも、衣装のデザインの是非というよりは、着替えのためにトイレを利用する人がいたことが問題になったケースであった。
ネットでは、何かと「コスプレ衣装が不快感を与える」と指摘する人が多い。しかし、実際に問題になっているのは、トイレで着替えたり、撮影場所を独占したりするなどの迷惑行為の方だ。衣装に対してそこまで目くじらを立てる管理者は少数派と言ってよく、マナーさえ守れば歓迎している施設も少なくないのである。
■施設への事前連絡でOKに
他にも、「痛バッグ」を持つ集団が、それらを並べて撮影するために長時間にわたって場所を占拠する行為が問題になったケースがあるように、写真撮影に関するトラブルが圧倒的に多い。
こうしたトラブルは以前からあったものの、昨今のSNS文化の普及で社会問題化している印象を受ける。「いいね」をもらえる写真を撮るために、周りに配慮しない行動をとる人が多いのだ。そんなトラブルのせいで、撮影OKだった場所がNGになっては悲しいだろう。
では、コスプレイヤーがトラブルなく撮影を行うにはどうすればいいのだろうか。もっとも確実なのは、事前に施設に連絡をすることだ。施設によっては、事前申請があれば開館時間より前にこっそりと入場を許可し、他の客がいない中での撮影を認めているケースもあると聞く。
コスプレは節度をもって楽しめば魅力的であり、理解ある人も増えている。施設のマナーやルールを順守し、気持ちよく撮影できるようにしたいものである。
(取材・文=山内貴範)
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