お金がなくなった!「トンネルビジョン」か、それとも…
「あれ? ない……」
朝起きたらベッドの横に脱ぎ捨てたズボンにお金がないことに気が付いた。まるで上質なミステリーの幕開けである。
「確か、ここにあるはずだが……」
昨晩のこと、真夏の暑さを考慮し、「できるだけ身軽にしよう」と思ったのが運の尽きだった。
財布から数万円を抜き取り、右後ろのポケットに。
「これで手ぶらで出かけられる」
友人と居酒屋に行き、その後はスナックへ。そして最後はご機嫌な気分でタクシーへと乗り込んだ。だが、朝起きると、肝心の現金が忽然と消えている。
「昨日はそんなに使ってないはず……4万円は残っているはずだ」
しかし、いとも簡単に消えている。
ここで昨晩の記憶が走馬灯のように蘇る。居酒屋の店員、カラオケスナックのママ、従業員、タクシーの運転手、後部座席の横に座っていた友人……。
「もしかしたらコイツらの誰かが、手癖が悪いのかもしれん」

















