独自の雇用制度で受賞 経営者・栢孝文「麻雀で培った思考」
オンライン麻雀「Maru-Jan」運営
過労自殺が社会問題化する中、ユニークな雇用制度で職場を盛り上げている企業がある。2月7日、リクナビNEXT主催の「第3回グッド・アクション」を受賞した「シグナルトーク」(東京都大田区)だ。オンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan」の運営を柱とするITベンチャー企業で、3年前に導入した「フリーワーキング制度」がビジネス界で注目を集めている。
■社員の労働時間を減らし業績を伸ばす
同制度は、子育て支援やプライベート確保のための「フリーデイズ」(少日数勤務)、自宅やカフェなど社外で仕事をしたい社員のための「リモート」(在宅勤務)からなり、いずれも週3日勤務から選択できる。
社員にとっては夢のような雇用制度だが、この独自の取り組みで労働時間を大幅に削減しながら、かつ業績を伸ばし続けているのが、代表取締役の栢孝文(42)だ。
「2007年当時は社員の平均時間が月219時間でした。残業でいうと約60時間ですね。共同創業者が体調を崩して辞めてしまったこともあり、『これじゃいかん』と労働時間を減らす取り組みを続けたんです。結果、12年には月157時間、フリーワーキング制度導入後の16年には月147時間になりました。ここまで減らすと生産性を心配されるかもしれませんが、昨年は過去最高の売り上げを記録しました」
オンライン麻雀ゲーム大手の同社の売り上げは、昨年6億6000万円(税抜)。前年比2000万円増だ。どうすれば、労働時間短縮と会社の成長を両立できるのか。
「社員がクリエーティブな仕事に割ける時間を増やすため、ルーティンの合理化・効率化を突き詰めたんです。パソコンのファイル名など社員ごとにバラバラだったルールの統一から始まり、社員が少しでも楽できるツールなどがあれば社内で共有。毎年業務効率テストを実施して、効率化の意識を高めています。結果、従来は3時間かかっていた作業がボタン1つでできるようになったものもあります。それでは仕事がなくなってしまう、という議論もあるかと思いますが、それなら、もっと意味のあるほかの仕事をすればいい。当然、会議も狙い撃ちです。ムダを減らせばミスも減る。モノを作る側とチェックする側の時間が大幅に短縮されるんです」