「秋の日はつるべ落とし」の株式市場…NYダウの3万ドル割れも?
まさに、「秋の日はつるべ落とし」といった状況ではないか。
NYダウは1月5日に3万6952ドルの史上最高値をつけたあと、6月17日には2万9653ドルの安値まで売り込まれている。それが2カ月後の8月16日には3万4281ドルの戻り高値をつけた。上昇幅は4628ドル、上昇率は15.6%となる。
何があったのか。ファンダメンタルズが改善したのか。いや、そうではない。マーケットは「FRBの利上げペースが緩やかになり、来年には利下げ」と勝手に思い込んだのだ。この判断は完全に誤りである。
パウエルFRB議長はインフレ抑制に向け、「無条件の物価安定(景気、雇用は犠牲にする)、合理的無関心(株式市場、投資家の楽観論)の排除」を訴えている。
FRB高官はインフレを抑え込むためには住宅価格、株価などの下落が必要だと考えている。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が株価下落に関し、「Happy」と発言。それを端的に語っていると思う。
こうした状況下、NYダウは一転、9月6日には3万1048ドルと急落した。6~8月の上昇幅の69.9%を消したことになる。短期間に3233ドルの大幅下落である。世界の株式市場はパウエル発言以来、1週間に5兆ドル(約700兆円)の時価総額を失った。