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高橋乗宣
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高橋乗宣エコノミスト

1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

ぶざまな安倍政権が増やした貿易赤字

 今年上期の貿易赤字額が、比較可能な1979年以降で最大に膨らんだそうだ。今年4~9月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5兆4271億円の赤字とある。赤字額は昨年の同じ時期と比べて8・6%も増えていた。

 この数字には安倍政権のぶざまさが如実に表れている。当人たちは「アベノミクスはうまくいっている」と胸を張るが、指標はウソをつかない。安倍首相は「3本の矢」で日本経済を立て直すとした。異次元の緩和によって為替を円安に誘導しながら、法人税減税を実施して企業の負担を軽くし、輸出企業を後押しする。これが輸出立国の復活シナリオだったようだが、現実はまったく違う。貿易赤字は膨らむ一方だ。

 グローバル化の進展で、日本企業の多くは海外に拠点を設けるようになった。彼らは国外で利益を積み上げて、その一部を国内に還流させている。かつてのように日本の工場で製品をつくり、国内外で売っているのではないのだ。国内生産は減っているのだから、いくら円安にしても輸出額は増えない。輸入額だけ膨らんでいく格好になる。輸出立国と呼ばれた日本は、輸入大国に姿を変えているのだ。無理やり時計の針を逆戻りさせようとしても、できるわけがない。

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