井上久男
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井上久男ジャーナリスト

1964年生まれ。九州大卒業後、大手電機メーカーを経て92年に朝日新聞社入社。支局勤務を経て95年から経済部記者としてトヨタ自動車や日産自動車、パナソニックなどを担当。04年朝日新聞を退社しフリーに。文藝春秋、東洋経済新報社、ダイヤモンド社など数多く媒体で記事を執筆している。

<第8回>吉田調書報道が握り潰された理由

公開日: 更新日:

 朝日新聞は安倍政権の発足以来、集団的自衛権の問題などを批判してきたが、今は水面下で政権に近づこうとしている。永田町に詳しい記者はこう言っている。

「かつては中曽根康弘氏の周辺にいて今は安倍晋三氏の『後見役』を自負している政界フィクサーがいる。彼に対して、ある編集委員が『手打ち』の仲介を依頼してきた」

 政権から遠いと政局情報が全く取れないことや、東京五輪を控えて新聞社が関われるビジネスで出遅れてしまう焦りなどから、手打ちを模索しているらしい。

 そこで、格好の「餌食」となったのが、「吉田調書」報道と、それを報じた特別報道部なのだ。現政権は十分な検証のないまま原発再稼働に向かって突き進んでいる。それに一石を投じるのが同報道の狙いだった。非公開の調書をすっぱ抜き、かなり痛いところを突いた。そのため、菅官房長官らが激怒したといわれている。特報部は一昨年は「プロメテウスの罠」で、昨年は「手抜き除染」の報道で2年連続で新聞協会賞を得ている。原発推進の政権にとって特報部は目の上のタンコブのような存在に見えたのだろう。

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