安倍首相風刺のウィーン芸術展 日本大使館が公認撤回
公権力による表現活動への抑圧が国外に広がった。日本とオーストリア国交150年の記念事業として同国の首都ウィーンで日本の芸術家らの作品を展示していた「ジャパン・アンリミテッド」について、在オーストリア日本大使館が公認を取り消した。芸術展は9月下旬から始まり今月下旬で終了の予定。記念事業の公式ロゴが使えなくなるだけで芸術展は続いているが、開会から1カ月以上経っての撤回は異例だ。
芸術展は日本での政治社会批判の自由と限界に焦点を当てている。放射線防護服に日の丸の形に浮かんだ血が流れ落ちるようなオブジェや、安倍首相に扮した人物が歴史問題をめぐり韓国や中国に謝罪する動画も展示されている。「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」に参加していた美術集団も出展した。
芸術展の学芸員は共同通信の取材に「欧州の感覚では無害だと思う。ポーランドやハンガリー同様、日本でも検閲が強まっているのを感じた」と話している。