恒大集団が8月25日で上場廃止…50兆円の負債が映す中国不動産バブルの終焉
かつて「世界最大級の不動産会社」と称された中国の恒大集団が、8月25日付で香港証券取引所から上場廃止になる。2023年に裁判所から清算を命じられて以降、株式は停止されたままだったが、業務再建のめどが立たず、ついに市場からの正式な退場が決まった。
恒大集団は1996年創業。中国全土234都市で800件を超える不動産開発を手がけ、累計で1200万人以上に住宅を供給してきたとされる。2020年には1年で延べ約8000万平方メートルもの住宅を販売した。日本の平均的なマンション面積を70平方メートルとすれば、年間115万戸を売りさばいた計算になる。たった1社で、日本全国の年間住宅供給を上回る規模である。社員数は12万人、関連会社や下請けなどを含めた雇用創出数は年間で約380万人に達し、横浜市の人口とほぼ同じだ。
「創業者の許家印氏は、農村出身から成り上がった“改革開放世代”の象徴だった。香港や広州の豪邸、プライベートジェットや高級ヨットを所有し、買収したサッカークラブに巨額を投じるなど、派手な経営者としても知られました」(在日中国人の不動産関係者)。その豪快さは、急膨張する企業の勢いとともに、恒大のイメージそのものでもあった。
中国の経済事情に詳しい不動産会社代表はこう語る。
「巨大さを支えたのが、膨大な借り入れによる拡大路線。ライバルと目された碧桂園や万科と比べても、負債の大きさは突出していた。売り上げはピーク時で年間8兆円に達していたが、負債は2022年ごろには数十兆円にまで膨らんでいた。資金繰りは常に綱渡りで、コロナ禍の不動産市況の急落、政府による融資規制の影響も重なり、自転車操業はついに止まった」