小林節
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小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)

小池百合子都知事「学歴詐称疑惑」に見る胡散臭さ

公開日: 更新日:

 小池百合子都知事がエジプトのカイロ大学を(首席で?)卒業したか否か? が最近改めて話題になっている。実にバカバカしい話である。

 結論として、私は、彼女はカイロ大学を卒業してなどいないと、ここで断言しておく。理由は単純明快である。日本でアラビア語を修得していなかった者がエジプトの最高学府に留学して4年間で卒業できるはずなどない。これが「合理的推論」というものである。

 にもかかわらず、小池知事が「卒業した」と言い張るなら、その立証責任は、異常な事実を主張する側、つまり彼女の側にある。過去にも有名人の学歴詐称が議論になったことがいくつかあった。その際に私が疑問に思ったことは、その人物が「卒業していない」と指摘する側が不当に立証責任を負わされそうになることである。ここで原則を確認しておくが、「アラビア語のできない日本人がカイロ大学を最短期間で卒業した」などという異常な事実を主張する側が立証責任を負うことが、知的生活のマナーである。

 だから、この騒ぎは、小池知事が「持っている」と主張する卒業証書と卒業証明書を公表すれば済んでしまう話である。それを拒み続ける以上、彼女は学歴詐称を自白したようなもので、それは、公選法違反の虚偽事実公表罪(235条)で当選無効(251条)に至る事実である。

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