全日本スキー連盟 突然の強化トップ交代劇に“長野閥”の影
「なぜだ!?」という声は当然だろう。
全日本スキー連盟(SAJ)は14日、都内で理事会を開き、強化責任者の成田収平競技本部長(53)が辞任。06年トリノ五輪アルペン男子回転4位の皆川賢太郎常務理事(40)に交代することが承認された。このニュースは瞬く間にスキー関係者の間に広がり、多くの者は首をかしげた。
来年2月の平昌五輪までは8カ月しかない。しかも、今年の世界選手権で日本勢は、フリースタイルで金3、ノルディックで銀2銅3、スノーボードで銀1銅1のメダルを獲得した。
「ノルディック複合の指導が本職の成田さんは明大スキー部の総監督です。厳しい人だが、責任感が強く、ジュニア育成にも力を注いできた。ジュニア合宿には自腹も切ってきた人です。昨季の世界選手権では結果も出しているのに、この時期に自分から辞める理由がわからない」と、あるスキー関係者は言う。
別の関係者は「連盟内の長野閥の思惑です」と、こう続ける。
「現在のスキー連盟の内部は、会長の北野貴裕さん(北野建設社長=写真)の出身地である長野が力を持っていて、北海道や成田さんの出身地の東北との関係がよくない。突然の強化トップの交代について、『22年北京五輪に向けて次の体制を強化しなくてならない』と説明したのは、連盟内実力者の古川年正専務理事です。彼は元強化本部長でソチ五輪副団長。出身は北海道でも長野出身の故・片桐匡元SAJ副会長の娘婿。今は野沢温泉でペンションを経営している長野閥です。スキー連盟は鈴木(洋一)前会長の時に役員改選でモメにモメた。今回は平昌五輪前のドタバタ劇を避けるため北海道や東北が一歩引いた形です。新たに競技本部長に就く皆川さんは新潟出身ですが、北野会長のお気に入り。この人事で、成田さんが指名したアルペン、クロスカントリー、ノルディック複合、スノボーの部長も代わる可能性が高い。平昌五輪では多くのメダルが期待できるので、長野の北野会長はおいしいところを持っていきたいのでしょう。いずれにしても、この時期の強化トップの交代を納得できる者はいません」
現場の混乱は避けられそうにない……。