著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

メジャーリーガーの五輪派遣解禁を阻む「機構」vs「選手会」の対立構造

公開日: 更新日:

 加えて2023年のワールドベースボールクラシックに対する選手たちの意気込みもかつてないものだった。

 機構が従来の方針を転換してオリンピックに対する友好的な姿勢を打ち出すこともあり得ない話ではない。

 だが、選手の参加の前提がオールスター戦の中止や公式戦の短縮である点には注意が必要となる。

 前者は機構が収益を全30球団に配分する放送局との放映権料に影響するし、後者は試合数の削減による年俸の見直しの議論につながりかねないからである。

 特に年俸については、「コロナ下」の2020年に試合数が削減された際、選手会側が試合数と年俸を連動させることに強硬に反対した経緯がある。ひとたび年俸の削減に同意すれば、経営者側がさらなる年俸抑制策を打ち出すことが警戒されたからだった。

 今回の報道には、球界関係者や世論がどのような反応を示すかを確認するという役目もある。実際、コミッショナーのロブ・マンフレッドがオリンピックへの選手の派遣に懐疑的な見方を示したのは、計画が頓挫した場合の逃げ道を確保していることに他ならない。

 大リーグ選手がオリンピックに参加するか否かは、当分議論が続くことになる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状