「首都崩壊」高嶋哲夫
■首都移転は地方活性化にもつながる現実的な対策
「物語の着想は、30年ほど前にあった『首都機能移転会議』で、いつか書いてみたいと思っていたんです。日本は2つの大震災からどうにか復旧できましたが、それは首都機能が残っていたから。しかし、直下型地震で司令塔がマヒすると、インフラのストップや国内経済問題にとどまらず、ギリシャ問題のように世界恐慌を引き起こすでしょう。しかも日本の1000兆円の国債の20%以上を外国人が保有している。うかうかしていられないという警鐘の気持ちも込めました」
リポートを国民にひた隠す政府と探る記者、秘密裏に進められる首都機能移転計画と地震学者前脇の失踪などが同時進行的に展開するが、東日本大震災後の“現実”を思い浮かべれば、物語のリアルさにぞっとする。
「戦後レジームからの脱却といわれていますが、実際には明治時代につくられた体制をすべて変え、世界情勢に合った新しいシステムをつくるべき時期に来ているのではないでしょうか。首都移転は首都機能を守り、ひいては地方活性化にもつながる現実的な対策だと思います」