「首都崩壊」高嶋哲夫
■「東京直下型地震で司令塔がマヒすると日本発世界恐慌を引き起こします」
「炉心溶融や地震が引き起こす津波など、これまで『M8』や『TSUNAMI』で描いたことが現実になり驚かれましたが、この物語もさまざまな事実を積み重ねて出来たものです。東京直下型地震は100%の確率で起こります。そのとき、日本はどうなるのか。阪神・淡路大震災と東日本大震災の経験、そして今の日本の状況を踏まえ、僕がずっと考えていたことの集大成として描きました」
国土交通省のキャリア官僚森崎は、ある日、高校時代の同級生で東都大学地震研究所の前脇から、マグニチュード8を超える東京直下型地震の5年以内の発生率が90%に高まったというデータを渡される。その翌日、アメリカ留学時代の親友ロバートがアメリカ大統領特使として来日。東京直下型地震による経済損失が引き起こす世界恐慌についてのリポートを総理に手渡し、日本経済崩壊の回避策を迫る。
同時に提出された2つのリポートを前に困惑し、箝口(かんこう)令を敷く総理に森崎は「首都機能移転」の復活を提案する。そんな中、アメリカの大手格付け会社と世界的ヘッジファンドが動き出す。