「ネット依存から子どもを守る本」キム・ティップ・フランク著、上田勢子訳
■性的事件の危険もはらむ子どものネット依存
インターネットは、私たちの生活になくてはならないものとなっている。しかし一方では、使い方の加減が分からず「ネット依存」という問題も起きている。
とくに、心と体が未発達の子どもはネットの魅力に取り込まれる危険性が高い。キム・ティップ・フランク著、上田勢子訳「ネット依存から子どもを守る本」(大月書店 1500円)では、現代の子どもたちを取り巻くネット環境を明らかにしながら、ネット依存と、その予防法などを考察している。
2013年に行われた厚生労働省研究班の調査によると、日本でネット依存の疑いが強い中高生は51万8000人に上るという。薬物依存に比べればネット依存などたいした問題ではないように思われるが、これは大きな間違い。どんどん使用頻度が増える、使用について嘘をつく、人間関係や学校に支障を来してもやめられない、使用を続けるため不当にでも金を手に入れようとする。このような兆候は、薬物でもネットでも同じように起こるものだ。
また、ネットを過剰に使用する子どもに共通して起こるのが、うつや社交不安、激しい怒りといった感情面の問題。また、現実の人間関係が構築できなくなって不登校となったり、睡眠障害や運動不足による肥満も増加する。そして、ネットを介した性的事件にも巻き込まれやすい。本書によれば、携帯電話を持っている12~17歳の4%が自分のヌード画像を誰かに送った経験があり、10代の15%が誰かのヌード画像を受け取った経験を持つというから驚きだ。