「女系の総督」藤田宜永氏

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■「意見を述べたらしばらく黙る。これが女性に囲まれて生きる男の処世術です」

 我輩は男である――。こんな一行から幕を開ける本書は、女系家族の父親を主人公にした著者初の家族小説である。

「この小説のヒントになったのはカミさん(小池真理子氏)なんです。カミさんは2人姉妹の長女なんですが、小池家に行くと母親と娘2人のおしゃべりがすごくて、そのうち『パパ、もう寝たら?』と追い出されるシーンを何度も見てきたんですね(笑い)。またカミさんと妹がケンカすると互いに僕に愚痴を言い、でも数日もすると仲良く電話してる。家族の女性同士の結びつきは摩訶不思議で、男はついていけません。そんな熱帯雨林のような女系一家の中で“総督”として生きる主人公・崇徳のありようを描きました」

 十数年前に妻を亡くした還暦目前の森川崇徳は、母、次女、三女夫婦と孫娘のほか、親戚、2匹の猫までもが女という構成。賑やかといえば聞こえはいいが、娘たちには言われ放題、聞きたくない赤裸々な会話など崇徳は女性群に圧倒されっぱなしだ。しかし崇徳はうまくやっている。心得があるのだ。

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