謎解きを楽しむ!文庫探偵小説特集
「名探偵じゃなくても」小西マサテル著
緻密に計算された伏線を見逃さず、謎解きをするように読み進められるのが探偵小説の醍醐味だ。思った通りの結末に行きつくか、あるいは予想外のどんでん返しか。今回は、毛色の違う4冊の探偵小説文庫本をご紹介!
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「名探偵じゃなくても」小西マサテル著
居酒屋で友人が体験した「サンタクロース消失事件」の謎を議論していた楓は、我妻という男に声をかけられる。彼は、小学校の校長だった楓の祖父の教え子だった。楓の祖父は、楓が持ち込む謎を解いてしまう名探偵だったが、今や介護が必要なレビー小体型認知症患者。名探偵かどうかは体調に左右される。我妻は恩師との再会を望むのだが……。
認知症の祖父が探偵をつとめる本格ミステリー。古典ミステリーへのオマージュも盛り込まれている上、物語の軸の祖父と孫娘の関係が温かく描かれ、引き込まれること必至。著者は、「名探偵のままでいて」で第21回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビュー。本作は続編にあたる。昨年第3弾最終編の「名探偵にさよならを」も刊行された。3部作合わせて読むとより世界観が楽しめる。 (宝島社 880円)
「横丁の名探偵 犯人当て小説傑作選」福井健太編
「横丁の名探偵 犯人当て小説傑作選」福井健太編
ある日長屋のご隠居のところに、ご近所で起きた掛け軸泥棒事件の話が持ち込まれた。身近な町内で起きた事件だけに、盗人捜しを番所に持ち込んで騒ぐと証拠隠滅のため大事な掛け軸を捨てられてしまうかもしれないと案じたご隠居は、とりあえず被害者と目撃者の証言を集めて、犯人の割り出しに乗り出す。(仁木悦子「横丁の名探偵」)
2013年「本格ミステリ鑑賞術」で、第13回本格ミステリ大賞の評論・研究部門を受賞した編者による、犯人当て小説の傑作選。収録されているのは、仁木悦子、石沢英太郎、巽昌章、泡坂妻夫、岡嶋二人、中西智明、今邑彩の犯人当て小説界の精鋭7人の7作品。それぞれ推理に必要な情報を網羅した問題編を読み解き、名探偵が犯人を突きとめる解決編で答え合わせをしてみてほしい。 (東京創元社 990円)
「学ばない探偵たちの学園」東川篤哉著
「学ばない探偵たちの学園」東川篤哉著
鯉ケ窪学園に転校してきた高校2年の赤坂が、入部しようと思って訪れた文芸部の部室で、探偵部部長の多摩川と八橋にだまされ、探偵部に入部するところから物語は始まる。ある日赤坂は、夜の用務員室で先輩のミステリー談議に耳を傾けていたのだが、帰宅しようとしたときに人の悲鳴を聞く。それは保健室で血まみれになって倒れていた男子生徒を窓越しに発見した音楽教師の悲鳴だった。慌てて入り口を開けようとするも、保健室は鍵がかかっていて密室のようなのだが……。
迷走する探偵部の3人組が、周囲の助けを得て「足跡なき密室殺人」「アイドル高校生の失踪」などの謎を解く学園ユーモアミステリー。著者の学園ミステリーの原点ともいえる本作は今回初めて同社文庫に収録。軽妙な文体で肩の凝らない謎解きが楽しめる。 (実業之日本社 902円)
「怪盗探偵 山猫 楽園の蛇」神永学著
「怪盗探偵 山猫 楽園の蛇」神永学著
中学2年のとき、いじめを受けた憂さ晴らしにネット上でハッカーとして活動していた真生は窮地に陥った際に悪党の悪事を暴く「山猫」という有名な窃盗犯に助けられた。しかし6年前、山猫は死亡し姿を消した。山猫を忘れることがなかった真生だが、大学生になったある日友人から怪しいバイトに誘われ、その企業名が中国語で山猫を意味する「シャンマオ」だと聞いて即座に反応。師匠の名を汚す企業の正体を知るべく、だまされたふりをして潜入する。しかし意図を見破られ窮地に陥った途端、なぜかその場に死んだはずの山猫が現れた……。
大人気の怪盗探偵山猫シリーズの最新刊。サイバー攻撃予告や闇バイト、薬物汚染など、昨今の世相を存分に取り入れながら、スリリングな展開で読み手を飽きさせない見事な手腕に舌を巻く。 (KADOKAWA 1012円)



















