「さらば、裁判員制度」西野喜一著
裁判員制度を憲法違反と主張する著者が、その問題点を詳述し、制度の廃止を提言する解説書。
裁判員制度は、司法制度を見直すために設置された司法制度改革審議会内の陪審派と反陪審派の妥協の結果だと、導入の背景を批判。導入に際し、審理が粗雑になることはないのかなど、事前に検討すべきことさえ議論されていなかったと指摘する。その上で、実際は制度の維持が前提となり、評議から判決まで、徹底的に手を抜かれ裁判が儀式化している実態を告発。さらに、裁判員として駆り出される国民側の負担や憲法との適合性まで、国民のニーズとかけはなれた制度をさまざまな視点から斬る。(ミネルヴァ書房 2000円+税)