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“以前は簡単に覚えられたはずの電話番号も携帯電話を持って以来全く覚えられなくなった”“人と会った際に顔はわかっているのに名前がとっさに出てこなくて赤っ恥をかいた”等々、このところ脳の劣化を自覚して落ち込み気味という人はいないだろうか。霧がかかったようなぼんやりとした頭になんとかカツを入れたいと決意したあなたのために、今回は脳の活性化に役立つ本を4冊ご紹介!

 資格試験や語学習得など、大人になってから必要に迫られて勉強をしなくてはならない状況になったとき、大切なことがなかなか頭に入らず四苦八苦することは多い。

「ニューヨーク・タイムズ」紙の人気サイエンスリポーターの著者は、自らの大学入試試験の失敗経験をきっかけに、効果的な勉強法について興味を持ち、一般にいわれている勉強法が本当に効果的なのか、科学者への取材やデータをもとに再検証した。その知見から導き出された脳の特性を最大限生かした勉強法を解明・解説したのが、「脳が認める勉強法」(ベネディクト・キャリー著 花塚恵訳 ダイヤモンド社 1800円+税)だ。

 本書は、「脳細胞の形成と情報保存を解説した学習理論」「情報保持能力を高めるテクニック」「問題解決能力の向上に役立つテクニック」「テクニックの効果を高めるために無意識を利用する方法」の4つで構成されているが、中でも実験結果に基づく具体的な学習法が面白い。

 たとえば、同じ勉強時間で比較するなら、集中的に学ぶよりも分散学習した方がより定着しやすいことは実験によって立証されており、試験日程に合わせてより効果的な学習計画を立てることもできる。もし試験が1週間後なら、学習間隔を1~2日あけて分散勉強すると定着しやすく、試験が2カ月後なら1週間ごと、3カ月後なら2週間ごとに学習すると学んだことが長期間定着しやすいのだそうだ。

 ほかにも、バドミントンの3種のサーブをどれだけうまく打てるようになるかという実験では、単純な反復練習を繰り返すと向上のスピードが遅くなるという結果が出ている。ひとつのことを繰り返し練習するより変化を取り入れた練習をすると、人は絶えず調整することを学ぶため技術力が高まるらしい。

 これまで定説としてうのみにしてきた勉強法で時間や金を無駄にする前に、まずは脳の力を上手に引き出す勉強法を取り入れてみたい。

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