「きょうも猫日和」今江祥智著
昔々、お城に住む小さなお姫様は、まだ猫を見たことがなかった。ある日、初めてお城の外に出かけることになった。かごに乗せられ、着いたのはお寺だった。かごから降りたお姫様の足に布団の綿をちぎったようなものがまとわりついてきた。つかず離れずまとわりつくそれを捕まえて、着物のたもとに入れる。それはたもとの中で眠っていたが、食事の時間に騒ぎだしたので表に出すと、小坊主に「れろれろ」と呼ばれて連れられて行ってしまった。何としても手に入れたいお姫様は、殿様や母上様に「れろれろ」が欲しいとねだるが通じない。(「ねこふんじゃった」)
猫たちの可愛さ、不思議さを描く11短編を収める。(角川春樹事務所 540円+税)