「紙の城」本城雅人著
夜、後輩記者らと酒を飲んでいた東洋新聞社会部次長の安芸に、同期の総務部長・柳から連絡が入る。IT企業のインタラクティヴに買収を仕掛けられた親会社のアーバンテレビが、自社株を取り戻すために、保有する東洋新聞株を引き渡すことになったというのだ。インタラクティヴの会長・轟木の狙いは初めから東洋新聞のようだ。しかし、轟木がなぜ斜陽産業の新聞に目を付けたのか、その意図が分からない。情報収集を始めた安芸は、轟木の側近に元東洋新聞の記者だった権藤という男がいることを知る。安芸らは、インタラクティヴによる買収を阻止すべく、徹底抗戦するが……。
誇りを胸に戦う新聞記者を描いた長編エンターテインメント。(講談社 1600円+税)