「剣豪夜話」津本陽著

公開日: 更新日:

 自ら剣道3段、抜刀道5段という腕前の著者は、これまでに剣豪・武人を主人公にした小説を数多く著してきた。本書は、著者が直接教えを請い、話を聞いた現代の武人・剣豪と、それぞれの祖となる歴史的な人物の話を通じて、日本の武の神髄を語るもの。

 普通なら到底なしえない桃形兜の兜割りを明治天皇の面前で見事成功させた直心影流の剣客、榊原鍵吉。二十数人の甲冑武者に襲われながら、7人を斬り伏せ、5本の槍のけら首を斬り折った、示現流の始祖、東郷重位。200人のやくざを相手にたった一人で応戦した大東流合気柔術の祖、武田惣角……。

 これら伝説上の人物に引けを取らない技量の凄みを伝えるのが、中村流抜刀道宗家・中村泰三郎、新陰流21世・柳生延春、大東流合気柔術宗範・佐川幸義といった現代の達人たち。

 合間、合間には、著者自身の剣道や武道にまつわる自伝的な回想も織り込まれており、日本の武道がたどってきた歴史が重層的に語られるという、著者ならではの趣向。(文藝春秋 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    国分太一は会見ナシ“雲隠れ生活”ににじむ本心…自宅の電気は消え、元TBSの妻は近所に謝罪する事態に

  4. 4

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  5. 5

    中島歩「あんぱん」の名演に視聴者涙…“棒読み俳優”のトラウマ克服、11年ぶり朝ドラで進化

  1. 6

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒

  2. 7

    投手大谷の「オープナー起用」は逆効果…ド軍ブルペンの負担は軽減どころか増す一方

  3. 8

    "花田家と再婚"は幸せになれる? 元テレ東・福田典子アナに花田優一との熱愛報道も…恋多き一族の因縁

  4. 9

    ソシエダ久保建英にポルトガル名門への移籍報道…“あり得ない振る舞い”に欧州ザワつく

  5. 10

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”