祖父が関西の有名な博徒の家に生まれた茂代(仮名)は、天真爛漫な少女時代を過ごしていたが、小学3年で組長だった実父が蒸発。中学を出たころから、ケンカに明け暮れる毎日を送るようになり、覚醒剤にも手を出し、執行猶予付きの判決を受ける。
心を入れ替え、21歳で結婚して2人の子どもにも恵まれ何の不満もない暮らしをしていたのだが、麻薬の売人と知り合ったことから人生を転落、4年半を刑務所で過ごす。出所後、相談相手としてかつての仲間たちの人生に寄り添う彼女の侠気あふれる生き方に圧倒される。
犯罪社会学者が調査で出会った組長の娘の波乱の半生を聞き書きしたノンフィクション。(新潮社 490円+税)