「増補 へんな毒 すごい毒」田中真知著

公開日: 更新日:

 砂糖も塩も、身の回りに存在するあらゆる物質は毒になりうる。トリカブトが漢方では強心や利尿作用を持つ薬として用いられるように、毒か薬かの違いは、物質の性質の問題ではなく、人間側の用い方の問題であるという。そんな奥深く、複雑な毒の世界を案内するサイエンスエッセー。

 一口に毒といっても、トリカブトのような植物由来から、毒蛇などの動物由来、細菌やウイルスなどの微生物由来、鉛や水銀などの鉱物に含まれるものと、その種類はさまざま。こうした天然毒の他に、青酸カリなど人間が化学的に合成した人工毒もある。そんな基礎知識から、悪性脳腫瘍の薬として期待が集まるサソリ毒など、それぞれの毒の特徴などを解説した知的好奇心をくすぐる刺激的な書。(筑摩書房 840円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る