「わたしが子どもをもたない理由」下重暁子著

公開日: 更新日:

 子どもを持つ持たないは、個人の選択だが、えてして子どものいる人は「子どもがいなくて寂しいでしょう」と思いがちだ。しかし、最初からいないものにそうした感情はない。ペットを飼ってない人が「寂しいでしょう」と言われてピンとこないのと同じことなのだ。

 このように戦後70年経っても日本の「個」に対する意識が変わらないが、それは悪しき家族制度の残滓だという。家族は美しいものという幻想に縛られるがゆえに、自分の生き方と反していても子どもをつくる人も少なくないのが現状だ。

 そしてこの数年、国は少子化を理由に子づくりを勧め、子どものいる家庭に補助金を出すなど無言の圧力を掛けつつある。しかし、私たちには自分で選び取った人生を送る権利がある。もちろん、それには覚悟が必要だが……。

 60万部を超すベストセラーとなった「家族という病」の著者が、自分が子どもを持たなかった理由をつづりながら、産むことの圧力に一石を投じたエッセー。(かんき出版 1100円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性