「決定版日本の剣豪」中嶋繁雄著

公開日: 更新日:

 侍が「剣術」と称し、流儀を唱え始めるのは、将軍足利義政の時代だという。義政に仕えていた飯篠長威斎家直という人物が、刀槍の術を世に広めたのが始まりだ。下総に帰郷した長威斎は、香取神宮の境内で梅の木を相手に剣の修行に励み一流を編み出し「天真正伝神道流」と称した。

 この神道流の流れをくむのがかの塚原卜伝だ。卜伝の太刀の極意である「一ツの太刀」は、長威斎の弟子だった鹿島神宮の神官が創案し、これを卜伝の養父・塚原新左衛門がうけ、養父から卜伝へと伝えられた。将軍義輝まで門人にした卜伝の諸国巡行は、多くの従者が付き添い、大名行列のようだったという。

 そんな剣術の誕生から幕末まで、剣豪29人の生きざまと太刀筋を活写した評伝集。(文藝春秋 850円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ