「論破という病」倉本圭造著

公開日: 更新日:

「論破という病」倉本圭造著

 SNSには、あらゆる罵り合いがあふれ、いかに華麗なレトリックで「敵」を攻撃し、小さな世界の英雄になるかだけしか眼中にない「論破という病」が蔓延している。

 この「論破という病」を乗り越えるためには、「我々善人たちの敵」を徹底的に打ち倒しさえすれば全てがうまくいく、という「20世紀型の妄想」から目を覚ます必要があると著者は指摘する。不毛な議論から脱却し、「敵」を論破することではなく、協力し合って具体的な問題解決を行うことこそが、令和の議論の目的となるべきだと。

 その際に大切なのは、著者が「メタ正義感覚」と呼ぶ、相手が持つ正義も自分が持つ正義も両方尊重する世界観だという。

 論破という病を克服し、放置されたままの問題を解決する方途を示す現代社会論。 (中央公論新社 1210円)




最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態