「ふたりの桃源郷」佐々木聰著

公開日: 更新日:

 大正3年生まれの田中寅夫さんと大正9年生まれのフサコさんは昭和13年に結婚、3人の娘を授かる。農地改革が始まった昭和22年、有り金をつぎ込んでフサコさんの故郷に近い、中国山地の山を買った。電気も水道もない山奥だった。10歳で奉公に出た苦労人の寅夫さんは、お嬢さま育ちのフサコさんに家事や農業を教え、山を開墾して田畑を造り、家畜を飼って生活した。14年後、中学生になった三女の将来を考えて山を下り、大阪で暮らしたが、65歳になったとき、決意する。残りの人生は、夫婦で、あの山で送ろう、と。

 老夫婦の桃源郷のドキュメンタリーを30年にわたって撮り続けたディレクターがつづる、幸せな生活の記録。

(文藝春秋 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  2. 2

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 3

    箱根駅伝は「勝者のノウハウ」のある我々が勝つ!出雲の7位から良い流れが作れています

  4. 4

    女子プロレス転向フワちゃんいきなり正念場か…関係者が懸念するタレント時代からの“負の行状”

  5. 5

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  3. 8

    学歴詐称問題の伊東市長より“東洋大生らしい”フワちゃんの意外な一面…ちゃんと卒業、3カ国語ペラペラ

  4. 9

    村上宗隆、岡本和真、今井達也のお値段は?米スカウト&専門家が下すガチ評価

  5. 10

    自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方