「家族じまい」桜木紫乃著

公開日: 更新日:

「家族じまい」桜木紫乃著

 子育てを終えた48歳の智代は、還暦間近の夫・啓介と北海道の江別市で2人暮らし。

 ある朝、智代は夫の後頭部に10円ハゲを見つけるが言い出せない。パート理容師の智代は、夫がハゲができるほど何かに悩んでいるのかもしれないと思うと、それを聞き出すことにちゅうちょしてしまったのだ。

 同じ日、妹の乃理から釧路に住む両親の様子を見に行ってほしいと連絡が入る。実家の両親と連絡を取り合っている乃理によると、母親のサトミが「ボケちゃったみたい」という。若いときに父親との関係がこじれ、なるべく実家と距離を取ってきた智代は気が重い。

 以降、啓介の弟に嫁いだ27歳下の嫁・陽紅や乃理、サトミの姉・登美子など、さまざまな視点から各人が抱える家族へのしがらみを描く連作集。

(集英社 748円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  3. 8

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  4. 9

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  5. 10

    中山美穂さんが「愛し愛された」理由…和田アキ子、田原俊彦、芸能リポーターら数々証言