「猫にならって」佐川光晴著

公開日: 更新日:

 芳子は8歳のときに結核になり、治癒したが、自宅で伏せって過ごしていた。

 小学校に入学した頃から家に居ついていた猫のミー子が4匹の子を産んだ。キジトラ2匹と、三毛と黒猫が1匹。ミー子が子猫に煮干しをかみ砕いて与えたりするのを見て、芳子の父の会社の顧問弁護士の岸川典光は「見あげた母猫ですね」と言った。

 やがて子猫のもらい手が決まったが、キジトラの「チビ」はその前にいなくなった。「チビは、どこかで、たくましく生きていますよ」と言う岸川に、芳子は信頼感を抱いた。22歳で岸川と結婚し、妊娠した芳子は、ミー子を思い出した。

「私だって立派に産んでみせるから」

 猫との暮らしを描く8編の連作短編小説。 (実業之日本社 1925円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは