「四季の歌」作詞の荒木とよひささんが語る“酒と音楽の日々”
今、そんなことしたら警察沙汰になってしまうだろうけど、毎シーズン、大学並みに100日ほど合宿でお世話になってた旅館で、日大芸術学部の受験の時も2日前までそこにいたほど。ヤンチャ息子みたいに思ってくれてたのかもね。
■母親には「酒を飲んで商売になる仕事をする」と
高校時代からそんなだから、大学に入ってからは推して知るべし。音楽活動をしながら、飲んだ飲んだ。
ある日、見かねたオフクロが「どうせアンタはその(音楽の)道じゃ成功しないだろうから、ウチの店を継いだら?」って。将来を心配してくれたんだろうけど、ボクはこう言い返したんだ。「ボクは酒を売る仕事じゃなく、酒を飲んで商売になる仕事をするよ」って。まあ、これが今のボクの原点といえるかもしれないね。
若い頃はムチャもしたけど、人生経験を積むとともに酒の飲み方は変わってくるものでね。飲むのが上手になるのはもちろんだけど、粋な飲み方にこだわりたくなってくるんだよ。
このあたりは池波正太郎、伊丹十三の酒にまつわるエッセーを読むといいんじゃないかなぁ。軽妙洒脱に最後にニヤリとさせる珠玉の名文で、酒と男の粋な関わり方を教えてくれる。