築地市場に密着1年 遠藤尚太郎監督が映画で伝えたいこと

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 1935年の開場以来、80年余りにわたってわれわれの胃袋を支えてきた築地市場。その様子を一年間通して初めて撮影した映画「TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)」が10月1日、東劇での先行公開を迎える(全国ロードショーは15日~)。くしくも築地市場は「盛り土」問題によって豊洲新市場への移転に待ったがかかったばかり。都民が、国民が、固唾をのんで見守る“日本の台所”だが、スクリーンの中では躍動感にあふれていた。

 全110分に及ぶ本編の中で「移転」という言葉はひと言も出てこない。撮影期間は14年3月から15年6月までの1年4カ月。企画立案時にはすでに移転が前提だったが、監督の遠藤尚太郎氏(37)は「移転そのものをテーマにした作品ではない」と言う。あくまで伝えたかったのは、「築地開場から80年間で培ってきた食文化の豊かさ。そして、その食文化を日々育て、支えている築地市場で働く人々の思い」と話す。

■製作意欲を刺激した築地のエネルギー

 初めて場内を訪れたのは2012年。流行の最先端ともいえる銀座にほど近い立地にして、「日本刀のような包丁で魚をさばく人もいる。まるでタイムスリップしたような感覚」を味わう。得体のしれない凄まじいエネルギーに心が揺さぶられ、製作意欲がかき立てられる。

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