12歳で母代役 サヘル・ローズ“織り子”ホロ苦デビュー秘話

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 それでも、受話器を置いた母は怒鳴ることもなく、きちんと向き合って説明してくれたんですね。それで仕事に対する責任感、お金を得ることの大変さと、何によって私たちが暮らしていけてるのかを理解しました。即売会での織り子という仕事は、常時あるわけではありません。8月は閑古鳥が鳴き、逆に冬は大忙し。それだけに派遣された店舗では一回一回が勝負です。ミスをしたり、現場やお客さまに不愉快な思いをさせてしまったら次はない……。

 それからの私は手伝いたい気持ちと、激しくなるばかりの学校でのイジメから逃れたくて、学校は二の次で織り子の仕事を優先。最終日にいただけたお給料はいつも封を切らず母に渡していました。この仕事はタレントを始めてからも続け、24歳くらいまでしました。我が家の家計を助けてくれたことへの感謝と、生まれ故郷のペルシャの宝を日本の人たちにもよく知って欲しかったからです。

 絨毯を織るのは、私は人生の歩みのように思います。私という縦糸があり、そこへ周囲の人たちという横糸が絡まり、さまざまな模様ができる。決して一人では完成しないのです。人とのコミュニケーションができてこそ人生という模様が少しずつ仕上がっていく。

 そんなことも学ぶことになる門出の日。それがこの写真です。

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