脚本家ジェームス三木さん 旧満州時代の写真はたったの1枚

公開日: 更新日:

政府や時の権力者は国民に平気で嘘をつく

 一族皆で引き揚げるのはリスクが大きいと判断して、それぞれの家族で帰国の途に就くことになりました。父母と幼い弟を抱えたウチは4人で汽車に乗り、朝鮮半島経由で南へ向かいました。でも、汽車といっても貨車にギュウギュウ詰め。中には屋根に上っていた避難民もいて、途中のカーブで振り落とされたり、トンネルで天井に頭を打ち付けて亡くなったり、悲劇はあちこちで起きました。

 しかも、トイレなんてない。バケツを隅っこに置いて、遮蔽物もないまま男も女もそこで用を足す。恥ずかしいとかそんなこと言ってる場合じゃなかったんです。そして38度線を越え、ようやく着いた釜山で1週間ほど収容所に入れられ、引き揚げ船「大隅丸」で博多港へ。僕にとっては生まれて初めての日本ですが、うれしいよりも、とにかくホッとしましたねえ。

 政府や時の権力者というのはね、平気で国民に嘘をつくんです。それは世界の国々を見たら一目瞭然です。だから、僕たちは言われるままに黙って暮らすんじゃなく、ちゃんと時の政府や政治をチェックして正しい方向へ引っ張っていかないとダメなわけです。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する