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クロキタダユキ

黙秘(1995年、米)

公開日: 更新日:

 家政婦のドロレスは、一人娘のためにコツコツと貯めたおカネをアル中夫に解約されてしまう。ひどい夫は、あろうことか娘を性的虐待。絶望する彼女に、富豪の未亡人ヴェラが囁いた言葉だ。それに続けて、「そして夫は遺産を残すのよ」とつぶやく。

 映画は、ドロレスが雇い主のヴェラを殺害しようとするショッキングなシーンから始まる。夫がぐうたらで、とにかくダメな男だから、ドロレスにすぐ感情移入できる。そこに母と娘、未亡人との駆け引きや心理劇が重なり、ぐいぐい引き込まれていく。

 ドロレス役のキャシー・ベイツは、傑作スリラー「ミザリー」で鬼女を演じ、オスカーに輝く。その演技に惚れたスティーブン・キングが、彼女のために書き下ろしたのが本作なのだ。女優冥利に尽きるだろう。

 原作はホラー色が強いが、映画はシリアスな人間ドラマとして奇麗に描いている。キングの巧妙なストーリーテリングは絶品だ。監督は、「愛と青春の旅だち」で名を馳せたテイラー・ハックフォード。骨太かつ繊細な人間ドラマを得意としている。

 皆既日食の最中、ドロレスが夫を殺そうとするシーンは目を見張るはずだ。映像とスリリングな演出が見事に調和し、息をのむほど美しい。ミステリー好きにはたまらない人間ドラマの秀作だ。 

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