著者のコラム一覧
クロキタダユキ

「クリード チャンプを継ぐ男」(2015年、米)

公開日: 更新日:

 シルベスター・スタローンがつくり上げたロッキー像は、ボクシング映画の名キャラ。その第1作で戦った盟友アポロが愛人に産ませた子供アドニスは、父の思い出がなく、その面影を追いかけてプロボクサーの道へ。老いたロッキーをトレーナーに迎えてデビューする。

 1ラウンドのゴングが鳴る瞬間、ロッキーが投げかけた言葉だ。初戦は2ラウンドKOだが、実は1ラウンドからワンシーンで撮っている。自分もまるでリング内にいるような錯覚を覚え、圧倒される。迫力満点のシーンの連続だ。

 ロッキーシリーズのストーリーは、大人の夢物語なのだろう。が、「ファイナル」に至っては、50歳を過ぎてリングに上がるなど、ボクシングなのかプロレスなのか。でも、本作はいい意味でベタさが生きている。老いたロッキーが病魔と闘いながらアドニスを指導する姿は、現実味があり、感情移入しやすい。見応えがあるのは、監督&脚本を手掛けた黒人ライアン・クーグラーがしっかりロッキーを研究して、その魂を引き継ぎながら、原案を練り上げ、映像化しているからだろう。

 彼は本作の後、マーベル映画で初の黒人ヒーロー「ブラックパンサー」を発表。世界的な大ヒットを収めている。ストーリーテリングがうまく、演出が丁寧かつスピーディー。ホント、今後が楽しみな作家だ。

 間もなく公開される「クリード2」の脚本はスタローン。ベタな展開に戻らないことを祈るばかりだが、本作がすばらしいことは間違いない。

【連載】セリフ1つ読む映画

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  2. 2

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  3. 3

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  4. 4

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  5. 5

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  1. 6

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  2. 7

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

  3. 8

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」