クロキタダユキ
著者のコラム一覧
クロキタダユキ

フラットライナーズ(1990年、米国)

公開日: 更新日:

「死ぬにはいい日和だ」

 昨年公開されたリメーク版の原作である青春SFスリラーは、医大生ネルソンのそんな言葉で始まる。死後の世界に興味を抱き、大学の仲間を誘って臨死体験をしようとする。もちろん、仲間は反対。それに応じた言葉である。

 そんな仲間を説得して臨死体験を行うと、見事成功。投薬により、1分間の脳死状態から蘇生させるために仲間が必死になるシーンは緊迫し、ドキドキする。

 その成功を受けて、仲間3人も臨死体験を敢行。が、実験後は、4人そろって奇妙な幻影に取りつかれるハメに。ほどなく、それぞれが過去のトラウマに伴う幻影だと分かる。

 ネルソンを演じるのは「24」シリーズで名前を売ったキーファー・サザーランドで、ケビン・ベーコンやジュリア・ロバーツらが仲間を名演。リメーク版より本作の方が、演出や脚本に力強さがあって面白い。名優たちの若かりしころの姿が新鮮だし、展開はスリリングかつスピーディー。最後まで一気に見られてしまう。

 死後の世界は、ミステリーの永遠のテーマ。たとえば、ロビン・ウィリアムズが主演した「奇蹟の輝き」は、油絵のようなビジュアルが美しく、アカデミー賞を受賞しているが、ストーリーは陳腐でイマイチ。「奇蹟――」より8年前、今から28年前の作品でも、完成度は本作が抜群だ。

【連載】セリフ1つ読む映画

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷騒動は「ウソつき水原一平におんぶに抱っこ」の自業自得…単なる元通訳の不祥事では済まされない

    大谷騒動は「ウソつき水原一平におんぶに抱っこ」の自業自得…単なる元通訳の不祥事では済まされない

  2. 2
    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

    狙われた大谷の金銭感覚…「カネは両親が管理」「溜まっていく一方」だった無頓着ぶり

  3. 3
    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

    米国での評価は急転直下…「ユニコーン」から一夜にして「ピート・ローズ」になった背景

  4. 4
    中学校勤務の女性支援員がオキニ生徒と“不適切な車内プレー”…自ら学校長に申告の仰天ア然

    中学校勤務の女性支援員がオキニ生徒と“不適切な車内プレー”…自ら学校長に申告の仰天ア然

  5. 5
    初場所は照ノ富士、3月場所は尊富士 勢い増す伊勢ケ浜部屋勢を支える「地盤」と「稽古」

    初場所は照ノ富士、3月場所は尊富士 勢い増す伊勢ケ浜部屋勢を支える「地盤」と「稽古」

  1. 6
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7
    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

    水原一平元通訳は稀代の「人たらし」だが…恩知らずで非情な一面も

  3. 8
    「チーム大谷」は機能不全だった…米メディア指摘「仰天すべき無能さ」がド正論すぎるワケ

    「チーム大谷」は機能不全だった…米メディア指摘「仰天すべき無能さ」がド正論すぎるワケ

  4. 9
    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

    「ただの通訳」水原一平氏がたった3年で約7億円も借金してまでバクチできたワケ

  5. 10
    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”

    大谷翔平は“女子アナ妻”にしておけば…イチローや松坂大輔の“理にかなった結婚”