著者のコラム一覧
クロキタダユキ

鍵泥棒のメソッド(2012年、日本)

公開日: 更新日:

 自殺願望を募らせたビンボー役者の桜井とスゴ腕の殺し屋コンドウは、ひょんなことから同じ銭湯へ。せっけんを踏んでスッ転んだコンドウは頭部を強打し、記憶喪失になったため、桜井はコンドウになりすまし、2人の人生が逆転する。

 2人に絡む、冷酷なヤクザやクソ真面目な美人雑誌編集長。4人を交えて、物語は二転三転しながら、胸キュンのラストまで予測不能なシーンが続く。

 監督は、「アフタースクール」などでおなじみの内田けんじ。観客にひとつのカタチを思い込ませておいて、スカッと裏切るプロット作りに定評がある。

 本作も、コンドウは冷酷な殺し屋だと思わせながら、売れない役者に転身させる。必死に役者に専念しようと奮闘するコンドウをコミカルにとらえる。記憶がよみがえると、実は殺し屋ではなくて……。そんなコンドウと桜井を巧みに演じ分けているのが、いまや押しも押されもせぬ顔芸役者の香川照之だ。

 ドラマなどでの演技はややオーバーアクションに映って辟易することがあるが、本作では見事に調和され、コンドウになりきっている。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし