新宿タイガーさんが語る 権力とも金力とも無縁の生き方

公開日: 更新日:

 1948年2月、長野県松本市で生まれ、農業を営む裕福な家庭で育った。大東文化大に進学するも2年で中退。新聞配達は在学中からやっていた。全共闘世代だが「政治も学生運動も一切参加したことがない。その代わり、任侠の世界ね、高倉健さんの『唐獅子牡丹』に興味を持った」と振り返る。24歳の時、稲荷鬼王神社の露店で虎のお面を見つけ、なぜか「生涯、虎だと直感」した。その時に大人買いした30枚のお面は今も大切に使い続けている。

「新聞を配っているとね、1面の記事は嫌でも目に入る。最近はからっきしいい話題はないけれど、それでも情報に変わりはない。いいことも悪いことも光も闇もまずはのみ込む。その上で、何を選ぶかは自分が決めればいい」

 数年前に両親が他界し、相続に関する権利はすべて放棄したという。

「うちの業界は定年退職はないから、ずっと新聞配達を続けるよ。年号が変わっても虎は虎のまま。琥珀(ビール)を飲んで、生涯独身、美女とシネマに酔いしれるの。美女と野獣(虎)といえば愛の金字塔だ。ガハハハッ」

 インタビューの前日、田舎にある先祖の墓前で映画完成の報告をしたという。67年に上京して以来、故郷に帰るのは3回目だ。

「取材も受けたの。一度に5社も。ありがたいこと。今日も本当にありがとう」

 お面の下に隠された目尻には、年季の入った笑いじわがたくさん刻まれていた。 

(取材・文=小川泰加/日刊ゲンダイ

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です