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大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

石橋保が好演「カスリコ」人生を狂わせる賭博の本質を活写

公開日: 更新日:

 カスリコという言葉を知っている人は少ないだろう。賭場で、客の世話などをして僅かばかりの祝儀をもらう仕事のことだ。

 その言葉をタイトルにした「カスリコ」という作品が22日、公開となる。舞台は1960年代の高知。カスリコは高知で使われた隠語という。モノクロ映像が美しい力作だ。

 名の知れた料理人・岡田は、手本引き賭博で失敗し店などを失う。憔悴(しょうすい)する岡田の前に現れ、カスリコを世話してくれたのが地元ヤクザの幹部だ。岡田は「(カスリコは)物乞いと同じだ」とカスリコの先輩から言われるも、家族への思いを胸にその仕事を続けていく。

 賭博で人生が狂うとどうなるか。本作は、賭博をするには最底辺の生活を見据えた覚悟が必要であること。さらに、賭博への尽きぬ誘惑は簡単には断ち切れるものではないことも描く。本作が見事だったのは、その双方を説得力ある演出と物語の展開でとらえたことだ。

 石橋保が岡田を演じた。これまで石橋はちょっと頼りなげな優男のイメージが強かったが、「カスリコ」では一転、表情の随所に暗い影を漂わせ、少し太めになった体にうらぶれた風情をにじませ、実に味があった。堂々たる主演ぶりだった。

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