<1>少年院の院長から「院生に聞かせたい」と依頼された

公開日: 更新日:

 野津院長は、「落語はもともと説法だから、ぜひ院生に聞かせたい」と言ったという。

「『孝行糖』という滑稽噺をやったんだけど、まるで笑わない。少年たちは、笑うと教官に目を付けられると思ってたんですな。睨んで、ガン飛ばしてた子もいました。客は落語の初心者、こっちは慰問の初心者ですから、仕方ないと言えば仕方ない。終演後、野津院長にねぎらいの言葉を掛けていただき、『少年院は全国にありますから、地方へ仕事で行って、ちょっとでも時間があったら、その土地の少年院を慰問して下さい』と言われました」

 その翌年、札幌のラジオ局に呼ばれる仕事があった。収録後、才賀は野津院長の言葉に従い、千歳空港に近い北海少年院へ慰問を申し出た。

「先方は大喜びで歓迎してくれました。挨拶に現れた院長の顔を見て驚いた。なんと野津院長じゃないですか。少し前に沖縄から札幌へ転勤して来たと言うんです。院長も驚いてました」

 まさに合縁奇縁である。 (つづく)

(聞き手・吉川潮)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 2

    NHK「昭和16年夏の敗戦」は見ごたえあり 今年は戦争特別番組が盛りだくさん

  3. 3

    永野芽郁が“濡れ場あり”韓流ドラマで「セクシー派女優転身、世界デビュー」の仰天情報

  4. 4

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  5. 5

    海星・陣内優翔は長崎県初の“完全男”だが…スカウトが「上位獲得」を渋るワケ

  1. 6

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  2. 7

    綾瀬はるか3年ぶり主演ドラマ「ひとりでしにたい」“不発”で迎えた曲がり角…女優として今後どうする?

  3. 8

    中山美穂「香典トラブル」で図らずも露呈した「妹・忍」をめぐる“芸能界のドンの圧力”

  4. 9

    長崎を熱狂させた海星・酒井圭一さんが当時を語る…プロ引退後はスカウトとして大谷翔平を担当

  5. 10

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩