著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで」(光文社新書)などがある。

武器はネガティブ漫才「宮下草薙」の力関係に微妙な変化が

公開日: 更新日:

 最近出てきた新しい世代の若手芸人を「お笑い第7世代」と呼ぶことがある。その代表格ともいえるコンビが宮下草薙だ。

 ボケ担当の草薙航基(28)とツッコミ担当の宮下兼史鷹(29)の2人組。草薙がひとりで勝手に後ろ向きの妄想を膨らませてパニックに陥る「ネガティブ漫才」を持ちネタにしている。

 草薙は高校に入学した直後の身体測定で「顔の割に胸板が厚い」とクラスメートにからかわれた。そこで彼は「このままいくと、公園で服を脱がされて『踊れ』まであるな」と思い、そのまま高校を中退してしまった。妄想ひとつでせっかく入学した高校をすぐ辞めてしまうのだから、そのネガティブ気質は相当なものだ。

 2018年1月1日に放送された芸人の登竜門といわれる「おもしろ荘」でテレビ初出演を果たして以来、バラエティー番組で見かける機会が増えてきた。特に、ネガティブキャラの草薙は引っ張りだこの人気だ。

 彼がバラエティー番組で重宝されているのは、追い詰められた時に先輩芸人に反論して噛みついていくガッツがあるからだ。時には勢い余って先輩に失礼なことを言ったりすることもある。でも、必死で歯向かう草薙には何ともいえない可愛げがあるため、それが笑って受け入れられている。

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